星空独奏曲 4
「なっ、何やの!! びっくりするやん!!」
まったく気配を感じさせず、真横にたたずんでいた平次に、
頭を冷やしていたとはいえ、一人でぼんやりとしていた所を見られていたのかと、
和葉が顔を真っ赤にして声を張り上げる。
しかし平次は和葉以上の大声を張り上げ、
「びっくりするんはこっちの方や!! あそこにおれって言うたやろが!!」
と、物凄い剣幕でコンビニの手前に置かれたバイクを指差したが、
現在地からその間、約三メートル。
「・・・そんなに動いてへんやん。」
あの場所にいろとは言われたが、
何故ここまで怒られなければならないのかと、和葉が眉をしかめ、
「・・・バイクやったら、そない近くで見張っとらんでも、ちゃんと鍵かけたんやろ?」
こうも怒るのはバイクの事かと思い当たり、呆れた様に続けたが、
その言葉に、平次は怒髪天をつくかの様な形相となり、
「アホかっ!! ボケッ!! バイクなんぞ関係ないわ!!
あの場所におったら何かあってもすぐにコンビニに逃げ込めるやろがっっ!!」
と、物凄い勢いで和葉を怒鳴りつけた。
「へ・・・。」
すぐには平次の言っている事が理解出来ずに、和葉が呆けた声を漏らす。
つまり、バイクの側にいろと言ったのは、
別にバイクを見張っていろという意味ではなくて、
バイクのあるコンビニの入り口付近が安全と言う事で、
だったらバイクをわざわざ移動させずとも、
その意図を告げて、入り口にいろと言えば良いと思うのだが、
ついでに、そんなに治安が悪い土地とも思えないのだが、
それでも、やはり、結局は、
店内に入ろうとしなかった自分を、婉曲ながらも心配してくれたと言う事だろうか。
「あ・・・そうなん? ごめんなさい・・・。」
驚きに整理のつかない気持ちのまま、素直な謝罪の言葉を漏らすと、
平次は目を見開き、慌てて視線をそらしながら、
「べっ・・・つに、一緒におる奴に何かあったら面倒なだけでやなぁ、
親父らもうるさいやろし・・・。」
と、何やらぶつぶつ言いながら、バイクの方へと向かって行ってしまった。
まぁ、そういう事なのかなと思いつつ、
それでも心配してくれた事には変わりないと、肩を落としながらも表情がほころんで行く。
頭、冷やしたばかりやのになぁ・・・。
「何しとんねん、さっさと行くで。」
「あ、うん。」
ヘルメット越しの声に我に返り、和葉がバイクに駆け寄ると、
さっさと発進の準備を整えた平次に、
先程シートに置いたヘルメットを渡された。
「ほれ。ったく、ほっぽって行きよって、もうちょい大事に扱えや。」
「あ・・・うん、ごめんな?」
平次の言葉に、先程からの感情が相俟って、何も思わない訳ではなかったが、
反省した気持ちのままに何とか笑顔を作って謝った。
そうして、下がり気味になる眉を隠す様にヘルメットをかぶり、
和葉がタンデムシートに乗り込もうとした瞬間、
少し考えた様な平次の声が、ぽつりと流れて届いた。
「・・・自分のなんやから。」
終わり
突然ですが、あたしは創作の挿し絵をお願いした方には、
お礼の意味も込めて、完成後、一番に創作を送らせて頂いているのですが、
今回に限り、何も知らせてません。っつーか挿し絵にする事からしてほぼ無断。
いや、今回の挿し絵は、うえだの王子こと漫画家の上田宏さんが、
あたしの誕生日に専属壁紙職人として下さったイラストなのですが、
本来ならデスクトップの壁紙に使用すべきこのイラストを、
挿し絵に使いてぇー!! という欲望の赴くままに創作執筆。
でも飲み仲間である王子に、ときキャン創作を改めて送るっつーのは、
両手両足の生爪はがされても無理なので(例えが怖いよ。)、今回に限り、無断掲載。
何かの間違いで読んだとして、それはHPの性質上自由だが、
あたしには間違っても読んだとか言うんじゃねえ王子。
・・・今後、何か貰えるのか、っつーか友達付き合いして貰えるのか、とても心配です。
さて、今回のテーマとも言うべきバイクのヘルメット、
数人の人間におかしいと言われましたが、
あたしはどうも、マッチやらシブがきやらの歌のせいで、
「バイク」や「ヘルメット」という単語を作中に出す事が妙に気恥ずかしく、
この単語を出すのは、平和創作を何作も書いて来た中で、これが初めてかもしれません。
今までは「単車」とか、そんな言葉で逃げて来ました。
これを機に気軽に書ける様になれば・・・。
はい、ここまでの葛藤はおかしいと、そろそろ自分でも自覚しております。
服部平次のバイクのヘルメット、アニメ版とか映画版を考えると微妙ですが、
花屋堂は原作重視って事で(複数所持っつーのは映画も絡めた考えだろう。)、
良く見えなかった平次と和葉のヘルメットは色違いのおそろいっつー事で一つ。
色はどうなんだろうなぁ、自分内平和カラァの紺と紅だと戦隊ものみたいだから、
読んだ人の頭に浮かんだので良いや(良いやってお前。)。
それにしても、今回全般に渡って言える、っつーか、あたしの創作では毎回言えるかもしれない、
「言っちゃえよ!! 好きだって!!」的、服部平次の意地っ張りさ加減と来たら・・・。
はい、心配で迎えに来ました。案の定ナンパされててムカつきました。
ヘルメットは和葉の為に買った物です。よそっつーのは他の男のバイクって事です。
一人にしたくなかったけど、あんまりしつこく言うのもなぁと、
コンビニ脇に置いたバイクの側にいろと遠回しに言って、買い物に行きました。
って、あたしが素直になってもな。
あと、和葉がつかまる腕を強めた直後に買い物って、アヤシイと思わない?(最低。)
でも今回、あまりにも和葉が切ないかなって事で、
心配していた事と、ヘルメットの事に関しては、珍しく平次に口を割らせていたり。
前者はウチらしく、伝わっていませんが、
ヘルメットに関しては、何かこういう、オフィシャル的な事を決め付けるのは、
二次創作な割に原作を気にするあたしにしては珍しい事かもしれません。
そして、お互いに一人で色々考えちゃってるあたりがタイトルの独奏曲に繋がる訳なのですが
(ちなみに「ほしぞら」ではなく、「せいくう」と読んで頂けるとありがたい。嫌ならいい。)、
色々考えた後、頭を冷やす和葉に使わせて頂いたのが王子画像ー!!
かかかかか可愛いーーーっっ!!
何!? 何なのこの可愛さ可憐さ美しさ!!
そら雪も星明りになりますよ!!(勝手な都合。)
服部も思わず気配殺して見惚れますよ!!(作品解説。)
すべては君の誤解だよと星明りの下抱きしめますよ!!(そこまでしてない。)
ああ〜、無断で挿し絵に使用させて貰って本当に良かった・・・(良い子は真似しちゃいけないよ。)。
ありがとう、ありがとう王子!!
今後も壁紙と挿し絵よろしく!!(無理なんじゃ・・・。)