<曲がって真っ直ぐ>


        「やっぱりあんた、笑っとった方が可愛いで。」

        ずっと、事件の事で疑心暗鬼になっていた私に向けられた何気ない言葉、
        服部平次、関西では有名な名探偵という事で、
        警察の人達相手に随分と堂々とした態度だったけど、
        実際は私と同じ、高校生だって言うから、そんな風に言われてすごくびっくりした。
        びっくりして、高鳴りかける心臓を抑えて、感情を隠す様に眉をしかめる。
        「ありがとう。でも、誰にでも言ってるんでしょう、そういう台詞。」
        何となく、お調子者っぽい性格を見透かす様にそう言うと、
        彼は少し、困った様に笑ってみせた。
        「はは、かなわんなぁ。」
        そうして、しばらくはそんな表情をたたえていたけれど、
        すうっと、西の空が赤く色づいて行く様子を仰ぎ見て、その笑みをそっとしまい込むと、
        何故か、シャツの胸の辺りをつかんで、再び口を開いた。

        「・・・言えへん相手も、おるけどな。」

        「・・・・・・。」
        切なさが胸を支配したのは、事件のせいばかりじゃない。
        瞬く間に難事件を解決してみせた服部平次、
        その速度と同じ様に、私の胸の中にあった何か、
        今まで誰にも見せる事がなかった何かを、すくい上げる様にさらってしまった彼、
        その彼に、もうきっと、ずっと前から、
        こんな表情で、こんな言葉を言わせる誰かの存在に、気がついてしまったから。
        「・・・今日は、ありがとう。」
        様々な事を含めて、もう一度お礼を言って、
        そうして私は、彼に別れを告げた。

        終わり


        <当時の後書き>
        だから突然創作おっぱじめんのやめなよ。
        いや、創作では好みとか嗜好とか趣味の問題により(一緒じゃん。)、
        男子諸君を和葉に惚れさせるのが楽しい毎日なのですが、
        ふと、女子に惚れられる服部はどうかなぁと実行。
        結果・・・・・・ムカつくv
        ギニャー!! あんな可愛い幼なじみがいながら、
        他の女に「可愛い。」って何だよお前!!(お前が書いたんじゃ。)
        ちなみに服部が少しおかしいのは(ひでぇ。)和葉とケンカ中か何かで、
        タイトル別に道案内ではなく、言葉は曲がってるけど気持ちは真っ直ぐ、みたいな。
        和葉に!!
        でも、やっぱり駄目だ、PS「三人の名推理」であれだけ怒った人間がそんな話・・・。
        んがしかし、そんな男キャラに対して心の狭い花屋堂に、
        もう二ヶ月程前になりますが、主婦の方から素敵な朗報が!!
        あの頃のハナホンは、何故か不思議なまでに主婦率が高かったのです。
        さて、その朗報とは!?
        「来年のコナン映画は京都が舞台で平和も登場!!」
        わーーーっ!!
        世間では有名な話なのかもしれませんが、
        平和友達少数により、そんな素敵情報はもちろん知るはずもなかった花屋堂、
        飛び上がって大興奮!!
        「そして何と今回は、平次の初恋の人が登場!!」
        ・・・撃沈。


        <現在の後書き>
        漫画で描きたいと思いつつ、描けなかったんでしょうな。
        今なら「不愉快に長いもの」でやりかねない。
        そしてこの頃「迷宮の十字路」の情報を知ったんでしょうな。
        しかし、いまだに妙に情報通な人はすげえと思います。